畳材のQ&A
ワラ畳の良いところを教えてください。
稲ワラを100%使って畳床を作るには、ワラを縦横に3~5層に積み上げ、約40センチにも積み上げたワラを5センチにまで圧縮して作ります。これだけ圧縮してもワラ床独特の弾力性は他ではなかなか出せません。また、稲ワラの茎は空洞になっており、い草と共に沢山の空気を溜め込むことが出来ますので断熱性と保温性にも優れています。また水分の吸放湿性にも優れています。1枚で約500ccの水分を吸収することができ、空気が乾燥すると放出して、部屋の調湿作用も十分期待できます。室内の湿度が40%以上で吸収、40%以下になると放出してくれます。最近は稲わらの確保が難しく、100%ワラ床は最高級品となります。日本の風土、気候には一番適した床材と言えます。
最近は軽い畳が多いと聞きますが材質は何ですか?
最近の畳は断熱性能の高いインシュレーションボード(木質系繊維板)とポリスチレンフォームの組み合わせで畳床(芯材)はできています。弾力性はワラ床より少し硬いですが、ダニの温床になるワラを使用しないためハウスメーカー各社も採用しています。当店出荷割合でもこの脱ワラタイプ畳は93%、続いてポリスチレンフォームをワラで挟み込むワラサンドイッチタイプが5%、ワラ床2%、その他、ひのき畳などです。
洋間に畳を敷きたいのですが
畳を敷く場合の方法として置き畳として簡易的に並べて畳コーナーを作るか、部屋全体に敷き詰めるかによって工事内容が変わってきます。置き畳としては、「彩美」や「さやか」があります。どちらもお客様ご自身でセットして頂くことになります。全体に敷き詰める場合は通常の畳工事の工程になります。注意点として、入口の建具やクローゼットに接触しないかを確認してください。薄畳(15ミリ)より対応できますが、標準価格より割高になります。
新畳の入替えを考えていますが、ワラ畳を選んだ時の注意点は。
稲ワラを使用した畳は吸放湿性に優れていますが、湿気の多い梅雨時などはどうしても吸収する一方になり畳内部の湿度が上がりすぎてしまいます。通常は施工前の畳床の水分量は12%前後ですが生活の場では15%位にはなります。20%を超えるとカビとダニに注意しなければなりません。出来れば年に2回くらい畳を上げて、乾燥させてください。戸外に出してもらうのが一番なのですが、出来ない場合は畳を少し持ち上げ空き缶などを床板と畳との間に挟み込み、風を入れていただくだけでも湿気を抜く効果はあります。ひと昔前までは大掃除をして畳を乾燥しダニの温床となる塵、埃を取り除いていました。ただ、最近は大掃除の機会もほとんど無くなってしまいましたので、施工に際しては防虫、防カビ対策が必要です。各種シート類がありますので施工時にお申し付け下さい。
ワラは良く燃えますが火事になったらどうなりますか?
ワラそのものは良く燃えますが、畳床になった状態からはなかなか燃えません。ワラを圧縮して作っていますので、空気が入りにくく燃え上がりにくい構造なのです。本を燃やそうとしても燃えにくいのと同じです。また、い草もワラ床も適度に湿気を含んでいますので一気に燃えずにくすぶる程度で収まります。条件にもよりますが線香などは焦げ後が残る程度でしょう。一旦火が付き、くすぶってしまうとしっかり水をかけないとなかなか消えませんのでご注意ください。
ダニの付かない畳を教えてください。
まったくダニの付かない畳はありません。ダニの発生条件は
➀高温多湿の環境がある➁エサがある➂潜れる場所がある。
の三つです。➀はエアコンや除湿器の使用 ➁はこまめに掃除機をあてる事で表面上のエサは少なくなりダニはある程度押さえ込むことが出来ます。カビもダニのエサとなりますので注意が必要です。➂は、主に畳床の問題になります。ダニは背光性(光に背を向けて逃げる)がありますのでジュウタン、畳、寝具などが住家となります。畳の芯材によって、ワラを使用している畳は潜れる場所が多いのでダニの数も増えます。ワラを使う場合は体に安全な防虫紙を使うことでダニを抑えることが出来ます。ワラを使わない建材畳床は潜れる場所がほとんどないので比較的条件は良いかと思います。い草部分にはダニがいますのでこまめに掃除機で取り除いてください。
マンションに住んでいますが畳が反り上がってきたのですが。
最近のマンション、アパート、一般戸建住宅にも厚さ15ミリ程度の畳が入っていることがあります。バリアフリー対応畳、床暖房用畳として採用されたものです。薄畳が出回ってきた初期のものは材質も安定せず、熱や乾燥による反りが出たものもあります。現在は芯材も改良されて良くはなりましたが、まだ改良の余地はある様に思います。新畳に入れ替えるか、反りの出た裏に強力な両面テープで床に固定してください。薄畳は断熱性・保温性・吸放湿性・吸音効果が(通常の)厚畳より劣りますし、上質い草も使用する事が出来ません。事実、あるハウスメーカーでは薄畳は1Fのみで2Fは通常畳に変更になったり、15㎜から30㎜に設計変更された例もあります。
畳表の安全性について教えて下さい。
当店では主に熊本県産、福岡県産い草を使用しております。熊本県い業生産販売振興協会による畳表の安全性に関する報告がありました。(一部割愛、要点のみ抜粋)1.「いぐさ」「畳表」の残留農薬基準に付いては厚生労働省より規格基準が設定されていない。2.熊本県内JAは定期的に残留農薬分析を行っており、全て不検出となっている。3.農薬除草剤の使用にあたっては病害虫防除基準、除草剤使用基準が全ての薬剤に対し明確に提示されている。JAで薬剤を選定し、厳格な指導体制の元で使用しているので基準値を超える事は無いと判断している。4.平成18年の分析結果により染土には有害物質は含まれておりません。以上の報告により当店で販売します熊本産畳表は安全であると判断しており、福岡産い草も同等の安全性は確保できていると判断しています。又、当店で扱う畳表はエコファーマー認定農家さんのい草を使用しておりますのでより安全性の高いものになります。(一部除外品があります)
畳へりの種類が多くて決められません。アドバイスを下さい。
畳縁は岡山と福井で主に生産され、約23000種類あるといわれています。無地へりと柄へりがあり、材質は綿糸、麻糸、合成繊維糸の組み合わせに金糸をより合わせたものなどがあります。茶室などは茶縁か黒縁の無地へりが中心になりますが、日本の伝統柄から新しい時代のライフスタイルに合わせた現代感覚のものまで、へりを選ぶ基準は個人の好みで自由な発想でお選び下さい。室内のクロスや襖の色柄などと調和の取れた色調を選ぶのもいいかと思います。ただ、畳表は新調時と数年後の退色した色では全く違った見え方がします。みどりから黄色にそして茶色にと変化していきます。畳の使用期間から見ると緑色の時間より黄色から亜麻色の時期の方が長いので、この事も頭の片隅においてお選び下さい。最近ではペットボトルのリサイクルのエコマーク認定畳縁や自然循環するエコロジー繊維100%使用の生分解性畳縁もあります。
畳を入替えて6年ですがへりだけ破れてしまいました。
部屋の使用頻度にもよりますが6年経過ということで、寿命とお考え下さい。表替または裏返しの折には新しい縁に付け替えますが、どうしてもという事であればへりだけの交換も致します。へりの材質で綿糸製品より合成繊維糸使用ヘリの方が耐久性、耐磨耗に優れています。どの縁も直射日光の入る場所では色落ちが早く、白っぽくなったり黒くなったり、解れやすくなります。