熊本産地研修 い草製織行程に参加

2017年2月9日

昨年、い草の刈り取りから保管までの行程で研修を受けました。今回はその続きで
保管品を選別し製織行程での体験研修となります。夏の研修は暑さとの戦いもあり
辛い物がありましたが自然の生き物をその特性に合わせて育てる藺草農家さんの大
変さを身にしみて教えて頂きました。今回お世話になったのはエコファーマー認定
農家さんの森野利明様ご夫妻です。


初日はい草の品質の見分け方の基本を学びました。前回参加していますのでより深い
所まで理解できました。このコースは2度受けて初めてあやふやに理解していた所ま
でハッキリと判るようになりました。古芽、新芽の割合や各農家さんの考えにより
重視するところが違うため「量」か「質」を取るかの違いで仕上がり具合が変わる。

い草選別機 
最初にい草選別機で1番抜き(140㎝~)5番抜きまで長さに応じて選別し製織種類
ごとに保管する。最も長いい草でブランド表と言われる「ひのさらさ」「ひのさくら」
が織られる。今回の研修班分けで肥後物産の平﨑会長にお世話になりました。

い草 根切り い草 選り出し
選別したい草の根切り、裏付き作業。曲がった根元を切りそろえ、根白部分を除去しま
す。裏先(草先)をカットし先枯れ部分や実入りの無い所を取り除き、短いものや折れ
、変形、刈り取りハーベストによる傷のあるい草などを取り除く。森野様ご夫妻と。

い草 加湿 い草 選り出し
作業場の湿度に応じて加湿水分量を調節する。加湿することによりい切れや変色い、傷
を発見しやすくする為でもあります。根元を持ち、立てることにより折れたい草を1本
ずつ排除します。短いイ草はこの時落ちてしまいます。

い草 先枯れ選別 い草 根白選別
先枯れ、根白の上っているもの、キズ、変色など目で確認しながら1本1本取り除く。
この作業に時間を掛けるかどうかで仕上がり具合が天と地ほど変わってくる。素人の
私たちでは変色い草を発見してもなかなかうまく取り除けない。でも、畳表として送ら
れてくる商品に少しでも悪いい草が入っていると「うーんっ」とつい出てしまう。

い草 織機 い草 織機
い草織機 い草 織機
い草を揃えて織機にそっと載せて自動運転。加湿の加減や変形い草が混じったりすると
い草が真っ直ぐ飛ばずに途中で止まったり切れたりしてしまう。センサーで異常を感知
し、止まってはくれるが後の仕上げ作業に手間がかかったり、見映えにも影響してしま
うので選別の大切さがよく分かる。

い草イ切れ い草 イ切れ 仕上げ
畳表として出荷するにあたりキズがあると評価も下がり販売単価に影響する。この作業
で見栄えの良し悪しが決まる。丁寧な作業と職人としての腕の見せ所です。悪いい草の
処理は上手なのに刃物の押さえ型があったりするとテカッと光ったりしてしまいます。
基本は裏面で修正して送られて来ますが、畳表は生産者によって技量の差がでますので、
当店では生産者名も考慮して仕入れます。

日干し い草の評価
最後に日干しです。機械乾燥もありますが日干しによる乾燥の方が良いようです。その
日の照り具合や季節により干す時間に拘りのタイミングがあるようです。研修生それぞ
れが選別、加湿をし、製織した畳表を評価しました。同じ機械で織っているのに全ての
表で差が出て非常に驚きました。これ程の個人の差が出ると生産者ブランドですね。

い草の評価 加湿
この日連続して同じ織機で同じい草を選別せずに織り上げたもので右側が加湿なしで
左が加湿し過ぎた物を参考までに織っていただきました。差は歴然としています。
写真では解りにくいですが右はガサガサで左は色が悪くなっています。水分だけでも
これだけの差が出ますので天候による工場内の湿度変化で良くも悪くもなります。


左から森野様ご夫妻。和風生活様(2名)、石井製畳(2名)、佐藤商店様(2名)、秋吉様、
JAやつしろい業センター長の谷川様

い草 田圃
 い草田圃 2月
2月4日現在のい草田圃の状況です。これから根が張ってくる時期です。
い草に肥料を与えるタイミングによって生育に差が出ます。特にい草の伸びる6月頃の
天候次第でその年のい草が良くなるか悪くなるか...。